【内臓脂肪減少薬アライ】痩せたい人の味方!今注目の新発売薬について薬剤師の視点でまとめていく。

2024年4月8日から発売が開始されている、内臓脂肪減少薬アライ。

テレビでも取り上げられていて、今注目の薬だ。

どんな薬なのか?私は服用できるのか?

薬剤師の視点でまとめていきたいと思う。

目次

アライの有効成分”オルリスタット”

有効成分はオルリスタットというもの。

欧米では昔から使用されているようで、1997年以来の歴史があるとのこと。

作用のメカニズム

グラフは大正製薬から引用したもの。

食べ物に含まれる脂肪(トリグリセリド)は本来、すい臓から分泌される脂肪分解酵素であるリパーゼによって脂肪酸とグリセロールに分解(消化)されて、消化管から吸収される。

オルリスタットは消化管でのリパーゼの活性を阻害して、体への脂肪の吸収を抑制する。約25%を便として排泄することが可能。

つまり、本来であれば吸収されてしまう脂肪を吸収しないで便と一緒に排泄させる、という薬だ。

吸収しないから、太りにくい。そういう理屈だろう。

どんな人が飲める薬?

大前提として、既に生活習慣の改善を1か月以上取り組んでいる必要がある。

薬だけで痩せよう、そういった考えの人は購入することはできない。

つまり、薬だけでなく、生活習慣の改善を行うという自身の努力も必要だ、ということ。

また、生活習慣の改善に取り組んでいるだけでは足りない。

実際に太っているかの確認も必要になる。腹囲だ。

成人で、かつ腹囲が男性なら85センチ以上、女性なら90センチ以上ある人でなければこの薬は服用できない。

それだけではない。ほかに医師による治療を受けていると、それだけでアライを服用することができない場合もある。

詳しくは大正製薬のホームページかドラッグストアや薬局の従業員に話を聞いてほしい。

購入までの道のりは結構複雑だった。

数字でみるアライ(オルリスタット)の効果

同じく大正製薬のホームページから引用した。

プラセボ群とオルリスタット群を比較したグラフになっている。

ここでプラセボ群について解説しておく。人間は、これは効くから飲んでみて、と言われると、何の効果もないはずのものが効いてしまうという、プラシーボ効果(プラセボ効果)という思い込み現象がある。有効成分が全く入っていない偽薬を飲んだ人たち、つまり効くと思い込んで偽薬を飲んだ人たちがプラセボ群になり、それと比較することでようやく薬の効果を検証できるというシステムだ。

どちらもプラセボ群と比較して有意差が示されているが、特に下の腹囲変化量のグラフは、個人的にツッコミどころがある。

プラセボ群とオルリスタット群とで、そこまで大きい有意差が出ていないように感じる。

つまり、普通にダイエットしている場合と、ダイエットかつアライを飲む場合とで、痩せ具合に差がでにくいのではないかという推測だ。

アライ(オルリスタット)の副作用

一番ネックなのが副作用だ。

一部抜粋なんだが、消化器症状の副作用の発現率が非常に気になる。

全体の41%ほぼ半数の人たちに消化器の副作用が現れている。

一番多い副作用は

  • 便を伴う放屁
  • 油の漏れ

つまり、糞が漏れるということ。

また、副作用とは少し違うかもしれないが、脂溶性ビタミン不足も気になる

ビタミンには脂溶性という、油に溶けるビタミンがあり、ビタミンA,D,E,Kがそれに該当する。

ビタミン不足に伴う副作用の症状は割とバカにできない。

薬剤師としての俺の結論

効果と副作用などを考慮すると、アライを飲まなくてもいいんじゃないかという結論になった。

普通にダイエットした人たちとの有意差が少なかったのと、副作用の糞漏れ、ビタミン不足がリスクすぎる。

あと、純粋にこの薬を使える層が限られているので、使い勝手も悪そう。

痩せたいなら、余計なものを食わずに運動しろ。それに尽きる。

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この記事を書いた人

やくてぃーです。
30代男性。普段は薬剤師として日々患者さんのために働いています。

人生を豊かにする方法を常に模索しています。
合理的な生き方もいいけど、遠回りでも心が豊かになればそれでOK。

人生を楽しく面白くしていきましょう

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